音メディア処理研究室

 
サビの連続再生における楽曲印象を用いたプレイリストの自動生成の研究

サビの連続再生における楽曲印象を用いたプレイリストの自動生成の研究

研究背景・目的

近年、CDや音楽配信サービスなどが普及し、膨大な楽曲の中から聴けるようになりました。それに伴い、音楽を流し聴きするスタイルが増加し、複数の楽曲をメドレーのように楽しみたいという要望が増えています。

大量の音楽を聴取する方法としては、ランダム再生やプレイリストによるものがあります。
しかし、ランダム再生の場合は楽曲間で雰囲気が大きく変わると違和感を覚えたり、またプレイリストを作成するには大量の楽曲の中から選択しなければならないため、手間がかかってしまいます。

そこで、なるべく多くの楽曲を楽しめるようにサビのみを再生し、違和感のないメドレーを自動で生成することを目的としています。

システム構成

違和感のないメドレーを生成するために、楽曲印象を用いて再生順を決定することで違和感を抑えることができると考えています。

例えば、所持している楽曲すべてを「明るい曲」から「暗い曲」へだんだんと移り変わっていくように順番に並べます。
ランダム再生であると前後の楽曲の雰囲気が大きく変化するところで違和感を覚えることがありますが、印象の近い順番で並べると前後の楽曲の雰囲気が似ているため違和感を感じにくくなります。

system

楽曲間の処理については、クロスフェード処理を行っています。

従来研究

楽曲印象を推定する方法として、ゆらぎ特徴を用いた方法があります。
ゆらぎとは「繰り返されるパターンが時間的に変化する現象」で音楽にもゆらぎがあります。
楽曲の音量、ピッチ、リズムのゆらぎ特徴に着目することで、楽曲印象を推定することが可能となっています。

実験

内容

印象による再生順の決定がどの程度違和感を抑えることができるのかを評価するために、以下の4種類の再生順を用意しました。

  1. 聴取者個人の印象に合わせた再生順
  2. 聴取者個人の印象に合わせさらにテンポで並べた再生順
  3. ランダムに並べた再生順
  4. テンポで並べた再生順

の4つの再生順を用意しました。
再生順を決定する楽曲印象については、「明るい-暗い」と「激しい-穏やか」の2種類を使用します。
また、ひとつの再生順に使用するサビ曲は5曲としています。

上記1については、聴取者に楽曲をそれぞれの印象に35曲を分類してもらいます。

分類

そして分類結果をもとに別に用意した65曲の印象を推定し、印象で並べることで再生順が決定されます。

プレイリスト

上記2については、上記1のあとにテンポで並び替えることで再生順が決定されます。

これらの再生順を聴いてもらい、違和感があるかどうかを5段階で評価してもらいました。また、どの再生順が一番好みであるかも回答してもらいました。

 

結果

5に近いほど違和感を抑えられており、良い結果となります。

評価結果

  • 印象順で並べるとランダムより違和感を抑えられる
  • 印象とテンポを組み合わせるとより違和感を抑えられる

ことが結果からわかります。

考察

「印象とテンポを組み合わせた再生順」の評価が「テンポで並べた再生順」の評価を大きく上回ることができなかった結果について

  • 印象推定の正答率が約65%であるため、印象で正しく並べることが難しい
  • 「テンポで並べた再生順」で使用した楽曲の印象が近い

ということが考えられます。

まとめ

楽曲印象で再生順を決定するとランダムより違和感を抑えることができ、また、印象とテンポを組み合わせるとより違和感を抑えることができるとわかりました。

今後は「明るい-暗い」「激しい-穏やか」以外の印象についても検証が必要であると考えています。

 

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