音メディア処理研究室

 
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短時間フーリエ変換を用いた咳音検出

2023年度のデモ大会で発表した内容です。

【概要】

Google Colaboration上のフォルダ内の音声ファイルに咳音があれば文字で報告するプログラムを作成しました。

【背景・目的】

 現在、新型コロナウイルスの影響で、スマートフォンやPCを利用したオンライン受診が広まっています。また、豚などの家畜の健康状態を把握するための咳音検出システムの研究・開発が進められています。そこで、私はPCで咳音検出を検出するプログラムが作成できるのではないかと考え、デモ大会に向けてプログラムに取り組みました。

【システム説明】

下図は、咳音のスペクトログラムと波形です。

波形やスペクトログラムの類似度を計算すれば、咳音の判定に使えるのではないかと考えました。

音声分析を行うために「短時間フーリエ変換」を用いました。

 スペクトログラムの差分、及び類似度を計算し、閾値を用いて咳音かどうかを判断します。類似度が830000以上1150000以下の時は咳と判定します。

 

【プログラムの使い方】

まず、スマートフォンで自身の咳や声の音を録音します。次に、その音声ファイルをパソコンに送り、Google Colaboration上のフォルダに入れます。プログラムを実行すると咳音かどうかが判断されます。

【デモ大会での実験】

デモ大会では11個の音声ファイルで実験しました。音声ファイルの内訳は、咳音が8個、「こんにちは」という音声が1個、「あー」と発した音声が2個、無音の音声ファイルが1個となっています。

【実験結果】

下図はコンソール上での出力結果です。

11個の音声ファイルのうち10個が適切に判別されました。誤って咳音が検出されたのは、「こんにちは」という音声でした。

【開発環境】

使用言語:Python

環境:Google Colaboration

【使用した音源】

自身で咳をしてスマートフォンで録音しました。咳音以外も自分の声で録音しました。録音には、スマートフォンアプリの「ボイスメモ」を使用しました。

<咳音の例>

 

<「あー」という音声の例>

 

【参考文献】

音声分析におけるフーリエ変換とスペクトログラムを理解する  Qihttps://qiita.com/shirowanisan/items/6af2cc4c4be0c57bef06ta

『咳音検知技術/SoundTalksTM』を活用した飼養豚の体調管理に関する「日本初」の実証実験開始について https://www.boehringer-ingelheim.com/jp/press-release/20211101-02 

クロマベクトルを用いた音楽コードの推定

2023年1月17に行われたデモ大会にて発表した内容です。

[実験環境]

・プログラム作成および実行:MATLAB2017

・音源の作成:Cakewalk by bandlab

[使用する用語の説明]

クロマベクトル:音名を周波数軸として、パワーの分布を表現した特徴量

コード:同時に演奏された2つ以上の和音

   

[発表内容]

初めに、今回の実験の大まかな手順について説明をします。

①推定したいコード音からクロマベクトルを構築し、なっている音を抽出する。

②抽出した音の組み合わせからコードを推定する

なお、今回の実験は打ち込み音源ギターを録音した音源の2つで行います。

[予備実験についての説明]

先述した発表にあたって、デモ大会本番に向けた予備実験を行いました。

発表本番を想定して、打ち込み音源とギターを録音した音源の2種類であらかじめ実験を行うことで本番の精度を上げることを目的としています。

[打ち込み音源を用いた予備実験]

予備実験の打ち込み音源で使用した楽器およびコードを以下に示します。

<使用楽器>

1. Piano1  2. Marimba 3. Harp 4. Soprano Sax 5. Nylon Gt. 6. Cello 7. Natural Lead

※楽器名はCakewalk by bandlabのプラグインを参照

<使用コード>

1. Cmaj  2. Gmaj  3. Amin  4. Emin  5. Dsus4  6. Bsus4  7. Gaug  8. F#aug  9. A#dim  10. Fdim

参考として使用したコード10パターンを鳴らした音源を示します。

 

各楽器に対して10個のコードの音源、計70個の音源を作成してコードの推定を行っていきます。

[ギターの実音源を用いた予備実験]

予備実験のギターの実音源に使用したエフェクトおよびコードを以下に示します。

<使用エフェクト>

1. AC-Top30 Basic Clean  2. The Crunch  3. Dirty

※エフェクト名はCakewalk by BandlabのアンプシミュレーターTH3を参照

<使用コード>

・先ほど打ち込み音源で使用した10個のコードを使用

各エフェクトに対して10個のコードの音源、計30個の音源を作成してコードの推定を行っていきます。

参考として、ギターで10個のコードを録音した音源を示します。

[実験結果]

MATLABにおける実行結果を以下に示します。

※この表の見方は0-1 ~ 0-10が正解のコード、1 -1 ~ 7-10が打ち込み音源で出力されたコード、11-1 ~ 13-10がギター音源で出力されたコードとなっています。

この表からもわかるように、打ち込み音源は5-1, 5-2, 5-4, 5-7, 5-10でミスがあり、ギターを録音した音源については、13-7, 13-8, 10-1, 10-2, 10-3でミスがありました。一方で、それ以外の音源は正解のコードが出力されていました。

[デモ大会本番で行った実験]

デモ大会では、予備実験に使用したプログラムを用いてデモを行いました。

打ち込み音源を用いた実験では、時間の都合上予備実験で用いたすべての音源に対してコード推定を行うことが難しかったため、使用した音源のうち1.Piano1と2.Marimbaの20個の音源のコードを推定しました。

ギターを録音した音源では、発表時にギターの音を録音したものを用いて実験を行いました。なお、こちらも時間の都合上10個のコードを演奏することが難しかったため、1. AC-Top30 Basic Cleanのエフェクトを用いて1. Cmaj  3. Amin  5. Dsus4  7. Gaug  9. A#dimの5つのコードを推定します。

[実験結果]

発表本番で行った実験の結果を以下に示します。

※0-1 ~ 0-10および00-1 ~ 00-10は正解のコード、1-1 ~ 2-10は打ち込み音源によって出力されたコード、14-1 ~ 14-5はギターの音源によって出力されたコードを示す。

表からわかるように、すべての音源において正常にコード推定ができていることがわかります。

[考察・まとめ]

今回のデモ大会では打ち込み音源録音した音源の2種類の音源からクロマベクトルを生成してコードの推定を行いました。

発表時に行った実験ではすべてのコードを正常に推定することができました。

一方で、予備実験の際には正常に推定できていないコードが存在しました。この理由として

・楽器やエフェクトによって倍音成分の出方が異なる

・押さえ方が同じコードが存在すること(GaugとBaug, FdimとBdimなど)

が考えられます。これを踏まえたうえで倍音成分の除去を行うことでより推定制度が向上すると考えられます。

VR動画と2D動画の合成で作成したVR動画

2022年度のデモ大会の内容です。

<概要>

VR動画に2D動画を合成させることにより、新たなVR動画を作成することを目的としている。

また、編集ソフトによる合成であれば、通常のVRカメラでは撮影できないような映像を制作することができる。

<動画編集ソフト>

Adobe Premiere Pro

<使用機材>

RICOH | THETA S

ZOOM | H3-VR Handy Recorder

<発表資料>

<デモ動画>

<参考資料>
Adobe 合成動画を作成する方法
https://helpx.adobe.com/jp/premiere-pro/how-to/video-composite.html

Adobe Premiere ProでのVR編集
https://helpx.adobe.com/jp/premiere-pro/using/VRSupport.html

wondershare Adobe Premiere Proを使ってクロマキー合成をする方法をご紹介
https://filmora.wondershare.jp/adobe/make-chroma-key-video.html